大自然的温泉テーマパーク | 秘湯を守る会・会員宿 中房温泉宿泊レポート (長野県安曇野市)

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今回訪れたのは『中房温泉旅館』である。安曇野山麓線の県道25号線『宮城』交差点を起点に14㌔・・狭い道を越え対向車と落石注意・ところどころにある熊出没注意の看板(こんな看板北海道でしか見たこと無かった)に怯えながら走行すること約30分・・最果ての山奥にその温泉旅館はあった。

さすが秘湯を守る会会員宿の温泉・・秘湯過ぎる。温泉サイト開設後一番苦戦した『祖谷温泉』に匹敵するるヤバさであった。口コミで『そんなに道は険しくないですよ』という口コミを見たが『田舎道に慣れている人』なら良いが『レンタカーで運転を年に数回します』的な人はそれなりに神経を使うと思う。

辺りは川の渓流の音・マイナスイオンや木々の香りが素晴らしく山緑も面前一面に囲まれ雄大な自然を感じる事が出来る。もし推理系の小説かアニメだったら道が寸断されて事件が始まりそうな世俗から離れたとても静かな空間である。

ナビを信じて↑の橋のあるクソ狭い道路を登っていこうとすると手前で中房温泉日帰り温泉施設『湯原の湯』の受付とおぼしき人に宿泊客の確認と駐車場・チェックインの方法・今回泊まる宿の建物の簡単な案内をされる。

■建物が古すぎてスゴい
指定通りの駐車場に車を止め『中房温泉 招仙閣』にてチェックインの手続きをとり鍵を渡され別館『中房温泉 ロッジ』へ。今回は現金特価の安い一泊二食プランでトイレ・洗面所は共同というプランを選択し山小屋・湯治の木賃宿のような施設をイメージしていた管理人。

受付で『部屋は広いですがゆっくり寛いでください』と温かい言葉をかけて頂き思ったより良い部屋なんじゃないかと期待を含み別館へ。

中に入ると凄く古い時代を感じさせる造りで床は歩く度にギシギシ音がし、鄙びた温泉宿の雰囲気は抜群。上京した頃、最初に住んだ板橋区の築50年二万以下の風呂無しアパートを思い出す・・

更に所々扉が開かなかったり踏み抜いてしまいそうなぐらいの柔らかい床・まっすぐ立ってはずなのに斜めに傾いているように見えるトリックアートのような廊下など・・歴史の趣を感じることが出来る。レトロ・鄙びた・一般的には古く汚いと思われそうな温泉旅館にむしろ愛着を感じる人なら間違いなく直球ドストライクな温泉である。

■昆虫さんと触れ合え、自然の醍醐味を味わえる
部屋も上述の風呂無しアパートの時と同じく古い畳の匂いがするアパートみたいな雰囲気で窓から川の渓流の音が聞こえてくる。布団もカバーだけが置いてあり自分で敷くシステムのようだ。安いプランを指定しているので仕方ない。小さいテレビ・金庫・机のみが置かれたシンプルな構成となっている。

部屋を眺めていて思ったのだが窓には蜘蛛の巣が綺麗に張っており・・外かなと思ったら内側であった。旅館で蜘蛛の巣が張っている部屋に通されたのは初めての経験でドキドキが止まらない。よく分からないが木賃的な湯治宿ってこんな感じなのだろうか?

更に夜になると宿泊する管理人をもてなすかのように、蛾やアリ、小さい昆虫さん達がいっぱい入ってくる・・隙間を一生懸命探したが分からない、どこから入ってきたのだろうか。特に蛾は一晩で10匹程度が管理人の顔に飛んできたり自分がレポートを書いているときに面前に飛んできたりと来客をもてなすかのように飛び回っていた。さすがにキツいので22時頃に受付で虫取り網が無いか聞こうとしたが既に受付に人はいなかった・・。このように部屋によっては昆虫と触れ合える体験もできるようである。

前回訪れたあの素晴しい高峰温泉で目が肥えてしまっているのでは無いかと自省したがお得なプランであるとは言え価格差が4000円以内とは思えないレベルの差であると思う。正直経営が上手くいってないのでろうか、それとも試されているのか・・旅館に対して一抹の不安を感じた夜であった。

■これは・・大自然のテーマパークやぁ(グルメレポーター風)
しかし肝心の温泉であるが・・上記で色々書いたものの実力は折り紙付き。一言で表すと「天然のスーパー銭湯温泉」といった感じの規模・造りだと思う。

温泉は基本透明で硫黄臭やキリっとした匂いが漂う極上湯。宿泊客は地熱の岩盤浴・熱を利用した蒸し風呂サウナ・つぼ湯・貸切浴槽・飲泉・森林浴露天・温泉プールなど29の源泉を利用した14の浴槽を100%源泉掛け流しで利用することが出来るのである。

受付で「一日で全部の温泉を回るのは無理だと思いますので、また訪問した時に入浴していただければ・・」と言われたが、確かに一日で全部にゆっくり浸かるのは無理だと思う

しかし私も自称温泉ブロガーの端くれである。一応全ての浴槽を見てまわり、正直全部執筆するのがめんどくさいので特にこれはスゴいなと感じた浴槽をピックアップ&リスペクトして再訪する時の参考としていこうと思う。

▼御座の湯
別館で登録文化財に指定されている『旧湯会所』内に設置されている浴室である。館内は宿泊や立ち入りが不可な部分もあるが、ソファや簡素な漫画コーナーもある。レトロ感で言うとこの浴室が一番レベルが高い。宿泊する際は是非訪れたい。※昔お殿様が入っていたから『御座の湯』っていうらしいよ

▼地熱浴場
この温泉、源泉温度が90℃を越えており、所々で地熱による湯けむりが漂っている。そんな場所に、すのこが置かれており毛布などを敷いて岩盤浴の様な体験が可能となっている。夜は満点の星空を、朝焼け・夕焼けも楽しむことが出来る

管理人も夜に利用したが、カメラを持ってきていなかったのを後悔するぐらい夜空の星が綺麗ですごい・・。ここは外してはいけないポイントである。

▼蒸し風呂
温泉の水蒸気を炊き込めたような小屋があり、そこではミストサウナの様な体験が可能となっている。結構高温なので汗が5分も経たないうちに、にじみ出てくる・・外で体を冷やしながらを繰り返すと、秘境温泉で『ととのう』体験も可能である。

▼不老泉
中房温泉ロッジの渡り廊下を歩いた別館にある浴場。こちらは他の浴室と比べるとしっとり感も感じられる。神社の社みたいな内装が特徴の浴室である。管理人は深夜に1時間ぐらい、ここで貸切状態で湯あみを楽しませてもらった。



▼貸切風呂もあり
貸し切り風呂なども存在している。『滝の湯』『根羽の湯』は鍵で入室する仕組みとなっており、本館受付にて鍵を貸し出して貰い、入る仕組みとなっている。
※利用時間は15:00-23:00 06:00-10:00

混浴や、女性・男性で入る時間が分かれている浴槽もあり、家族やカップルで静かに温泉に入れる仕組みがあるのも素晴らしい。

▼自然に包まれながら入浴できる
『月見の湯』『菩薩の湯』『白滝の湯』は森林浴も楽しめる極上の露天風呂で特に『白滝の湯』は崖から硫黄泉が掛け流されている湯道は成分で白くなっている。『月見の湯』は山肌が近く解放感もあるので夜などは星も綺麗そうである。

この三つ浴槽では四季折々の自然を楽しみながら湯に浸かる事ができるだろう。
※なお18時頃から清掃が入るので、上記浴槽は夜には入れない。やや館内から遠い場所にあるので安全上そうなっているのかもしれない

▼日帰り温泉施設「湯原の湯」
中房温泉の入口にある『湯原の湯』は日帰り入浴も可能である。こちらは20人程度が入れそうな岩風呂に温泉が掛け流されている。山肌も近いが遮蔽物もある。

なお、洗い場はもちろん、机や小さい売店などもあり、休憩施設としても充実した構成となっている。

▼足湯・温泉大プール・一人浴槽風呂もある
その他『綿の湯』という足湯・歩行浴が出来、文化財指定となっている異色の源泉掛け流し『温泉大プール』(開業時期6月~10月中旬)・ケヤキの根をくり抜いて作られた壺湯のような一人用浴槽『ねっこ風呂』など秘湯とは思えない種類の温泉浴槽が多数ある・・これだけの宿泊者専用浴槽があるので、正直泊まった方が絶対良い

※ただし宿泊棟はしっかり選びましょう
※浴槽によっては女性専用の時間があったり、夜間は行けない温泉・日にちや季節によっては営業していない浴槽もあるので留意されたし

以上の様に、これでもまだ全部紹介しきれていないぐらい多い・・是非訪問して確かめて頂きたいと思う。

■晩ご飯
食事は別館のレストランで頂く。ここも時代に取り残された感がある昭和の施設・・自分が幼稚園の頃はそこまで珍しくなかったかもしれないが最近はあまり見ない空間であるような気がする。

晩ご飯は以下写真の様な構成だった。大衆的な感じだが腹いっぱい頂けました。

■朝食
朝食はこのような形で朝七時から提供している、前日は蛾さんと激しい夜を過ごしたため食事の時間に起きれずドアを叩かれ『食事出来てますよー』とモーニングコールを頂いた。

朝食後、昨日行けなかった温泉を複数ヶ所まわり一応気持ちコンプリートしておく。かれこれ20時間程度滞在していたが、あっという間に時間は過ぎていきチェックアウトの時間に。。

■まとめ
登山客主体の客層だからか、サービス・装備含め観光施設感がしない秘湯温泉旅館であった。

日帰り温泉施設『湯原の湯』もあるが宿泊すると10以上の浴槽に入ることが出来る。せっかくここまで命がけ(大げさ)で来たのだから宿泊すべきだと管理人は思う・・しかしながら宿泊棟によってはかなりクセのある内装であるとも思うので当サイトの情報や口コミを見ながら泊まる建物やプランを必ずしっかり確認してから判断して頂きたいと思う。

なお一人旅でも宿泊が可能である。孤独を愛する方も是非ご検討頂ければと思う。

今度は絶対に中房ロッジでは無く、隣の旅館『中房温泉 招仙閣』に宿泊してみたいと思った管理人でした。

[チェックイン・アウト/日帰り温泉情報]

チェックイン 15:00
チェックアウト 10:00

日帰り温泉情報 日帰りは『湯原の湯』のみ利用可能
時間・入館料 09:00-16:00・

率直レビュー

施設名称 大自然的温泉テーマパーク | 秘湯を守る会・会員宿 中房温泉宿泊レポート(長野県安曇野市) * 2020/06 訪問
泉質 星 5

スーパー銭湯がもし大自然だったら。という妄想を体現したかのような多すぎる浴槽と設備

複数の源泉を利用した源泉掛け流し100%の湯を提供している。プール(夏季限定)・地熱岩盤浴・蒸し風呂・文化財の内湯など歴史・自然の力をふんだんに使用した温泉旅館である。日帰りでは無く、絶対に宿泊して体験すべしである。温泉マニア巡礼推奨レベル(宿泊)である。

雰囲気 星 4.5

雄大な大自然、星空・・そして虫とロッジのボロさ加減がヤバい。宿泊するプランをしっかり選ぼう

自然味は抜群、星空・空気など本当に素晴らしかった。何度も言うが宿泊棟は必ず考えて選ぼう。

充実度

湯のレベルと訪問難易を考えたとき宿泊をお勧めしたいが・・

上記でも述べたが、ロッジ中坊は登山客向けの湯治宿的な建屋なので『旅館に泊まりたい』場合『中房温泉 招仙閣』プランを選ぶことを強く推奨したい。

その他
管理人オススメ度 4.5 星 4.5 地熱や温泉が至る所に湧き出る自然の温泉テーマパーク的旅館

アクセス

住所 〒399-8301 長野県安曇野市穂高有明7226
Webサイト https://nakabusa.com/
電話番号 0263771488
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h 読者レビュー

4.0
Rated 4.0 out of 5
( 1 件のレビュー:平均 4.0 点 )
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星3つ0%
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星1つ0%

天候が大切

Rated 4.0 out of 5
2022-11-15
miki

湯巡りがメインになる為、雨だと大変です

星も見えないし、地熱風呂は雨ざらしで利用不可能

天候に恵まれたら素晴らしい体験が出来ると思います

旅館の方に泊まりましたが、お食事も美味しく、スタッフさんも親切

ほぼ貸切だったので野天の混浴露天でも油断して全裸で入ってたら見回りのスタッフさんが男性で焦った(笑)

野天の混浴露天は、そうじゃなくても「見えてるのでは?」とゆうユルい作りではあります

個人的にすごくオススメと思ったのは、飲泉所のお水、持参のポットに入れて温泉に入りながら飲んだのですが、甘くてめっちゃ美味しかったです

焼山体験のジャガイモも無料サービスで、お塩までもらえて、すごく美味しかった

おおらかな気持ちで楽しめる人には楽しいお宿と思います